クロは見た目は涎のせいでずいぶんと薄汚れてしまった。
けれども、見た目はきれいだがすっかり食欲をなくしたぴーに比べ、
クロは痛がりながらもよく食べていて、食欲旺盛だとすら言っていい状態だ。
昨年のGWに症状が出始めた時にはほとんど食べものを口にせず、すっかり痩せ細ってしまい、
「このままでは冬を乗り切るのは厳しい」とすら思っていたのだが、
ある時期を境にして再び以前のクロのように食べることに貪欲になっていった。
そのおかげで体重も見た目もかなり戻った。
ここのところ、そんな安定感を見せているクロよりぴーを優先して膝に乗せていたら今朝は珍しく
クロが膝に乗ってきた。
なぜかぴーもクロもお互いをけん制することなく一緒に膝の上に収まった。
クロに馴染みのない人が見たらなんて汚い猫だと思うだろう。
「病気」もちの猫だと敬遠されるかもしれない。
けれど、ぼくにとっては野良猫と関わり始めた当初から付き合ってきた大事な猫のひとりなのだ。
ぼくが野良猫と関わり始めて6年経とうとしているが、クロは当時、すでに成猫だった。
だから少なくとも7歳以上になる。
この厳しい環境のなかでそれだけの歳月を生き延びてきただけでなく、
雌のクロは幾度となく出産を繰り返してきた。
たぶん、人で言えば「おばあさん」と言っていい歳なんだと思う。
ぼくにしてあげられることは食べものを運んで腹いっぱい食べさせてあげることくらいしかないけど、
それでも最後の最後までそれを続けてあげたいと思う。
それがぼくに心開いてくれたきみへの仁義だから・・・