曇り。ぼくが現地に到着した時に、とらちゃんが魚を食べている姿が目にとまった。釣り人からもらったのだろう。だが、タイミングが悪すぎる。とらちゃんは食べるのに必死で、出迎えにも来ない。この時点で朝食を食べる可能性が極めて薄いであろうと判断。
他の猫たちに食事をさせてからとらちゃんに近づいても逃げてしまう。雑魚であろうと猫餌であろうと食べてくれさえすれば文句はないのだが、ここ最近、生魚への欲求が強く、釣り人の近くに張り付くようになっているのが気になる。雑魚がコンスタントに供給されるのであればそれに越したことはないが、釣り人はあくまでヘラブナ狙いで、まれに小魚が釣れてしまうという程度の話しなのだ。味覚に変化が出てきたのか、最近、以前は食べなかった焼ささみを食べるようになった。
かつて、あれほど人を恐れていたとらちゃんが、食欲の為(?)とはいえ、いま、こうして、釣り人の近くに貼りついているということに感慨を覚える。
とらちゃんの動きを視界のなかにとらえながら、チャンスがくることを待っていた。ぼくの傍まではこないものの、離れた場所からぼくを見ているのに気づき、ひょっとしたらチャンスかもしれないと、とらちゃんに近づき、逃げなかったので、そのまま抱きかかえて餌場へ連れていく。釣り人の傍で待っていても雑魚が釣れないのでお腹が空き始めたのかもしれない。ダメ元で餌を与えると多い量ではなかったが食べた。
夕方、ぼくが普段、到着する時間の少し前あたりからかすかに雨が降り始めていた。濡れるほどの雨ではなかったので、そのまま突入。
とらちゃんの反応は悪くない。天候が悪いためか、悪い予報が出ていたせいか、釣り客は少なく、とらちゃんが雑魚をもらっている可能性は低いと見た。
餌場に来るのが早い。尻尾が立っている。…こんな時は大抵、よく食べることが経験的にわかってきた。
食欲がない時にはぼくの傍に来ない。お腹が空いている時にはぼくのすぐ傍に待機する。実にわかりやすい。今日はこれまでの夕方の食事量を更新するんじゃないかと思うくらいよく食べた。
食後、釣り場の方へ向かったので、片づけが済んで行ってみるととらちゃんの姿が見えない。「まぁ、いいか…」と餌場へ戻ると、ハウスのなかにとらちゃんの姿が見えた。どこをまわってここへはいったのかはともかく、雨も降り出していたし、またしてもハウスを変えたとはいえ、ハウスの中にいてくれることで、むしろ、ホッとした。
帰る前にもう一度覗いてみるとよく寝ているようだった。今日、見つけた記事のなかにこんな記述があった。
「腎臓に疾患がある猫は、雨の日の低気圧で体調が悪くなるようです。気圧が下がると血管が広がります。すると全身の血流が悪くなるため、腎臓の働きも悪化するのです。」
先日、雷の日に食欲がなかったのは、気圧が下がって体調が良くなかったのかもしれない。