メルがぼくの膝の上で頭を撫でられ気持ちよさそうにしている。
出勤前のわずかな一時。
メルのその顔を見つめながらぼくは幸せな気持ちに包まれていた。
震災以降、幸せについて時々、思い出したように考える。
「幸せってなんだろう?」
野良猫たちと接しながらも似たようなことを時々、考える。
「幸せはどこにあるのだろう?」
幸せはいまそこにあるけど気づかずに通り過ぎてしまう瞬間に無数に
存在するのかもしれない。
「じいさんになったら、ひがな一日、猫を膝に乗せてベンチでひなたぼっこをするのも悪くないな・・・」
それはけっこう贅沢で幸せな人生であるように思えた。