晴れ。
ここ数日は朝、とらちゃんエリアに向かうのがとても気が重い。
「今日はもうダメかもしれない」
そんなことをどうしても考えてしまう。
ぼくが車を停めるまでの間に釣り人の車の下を
チェックする。
今朝もいた。
いまのとらちゃんの状態を考えたらもう、動けないに等しい状態だと
思うのだが、律儀に(?)釣り場へ出てきていることに唖然とする。
もちろん、そんな状態だからお出迎えなんてできないし、
ぼくも期待していない。
他の猫たちに食事をさせ、その後、ゆっくりとらちゃんと関わることにした。
相変わらず、目のふちの奥にドロっとした目ヤニが溜まっている。
風邪の時のような黄色いものではない。
ダメ元で餌を出してみるが、口をつけようともしない。
動いてエネルギーを消耗するのが厳しいようで、
身動きもせず、おとなしく身をまかせてくる。
長期戦を覚悟して、今日も車内に移動。
とらちゃんはまったく動かず、呼吸によるお腹のかすかな上下運動だけが、
生きていることを確認する証。
途中で外に出たそうな様子を見せたので、表に出すと、
離れた水飲み場方向に向かって歩き出す。
だが、足元はおぼつかない歩き方だし、
持続力に欠け、写真のように途中でしゃがみ込んでしまう。
休み休みにしか前に進めないとらちゃんを見かねて、
最後は抱いて連れて行った。
しかし、水はほとんど飲まなかった。
とらちゃんがしたかったのは違うことだったのだろうか?
仕方なく、とらちゃんを抱いて汲み水のある所へ連れていくと
それなりの量を飲んだ。
その後、近くの日陰で横になったとらちゃんを確認し、ぼくは撤退。
心配ではあるが、どうすることもできない。
夕方、行っても餌を食べさせてあげられないであろうことは
わかっていたが、それでも心配で出掛ける。
とらちゃんは写真のように地面にベッタリ状態だった。
食事にはまったく関心がないようで、動こうともしない。
先に他の猫たちに食事をさせる。
朝、とらちゃんのことを心配した釣り人が駕籠で小魚をとってくれた。
動かない魚を口に近づけても反応しないが、
跳ね回る魚には反応して食べようとした。
食欲は持続しなかったが…。
そこで、ぼくが考えたのは、「もしかしたら、鼻が効いていないんじゃないか」
ということだった。
鼻水も出ていないし、風邪らしき症状はほとんどみられないから、
ある意味、ぼくの願望のようなものかもしれない。
ただ、ぼくがそれを見過ごしていて、助けられたものを助けられなかったと
したら、後悔が残ると思い、抗生物質を飲ませた。
ぼくの腕の中ですっかり身を預けてくるとらちゃん。
もう、ほとんど力を出すエネルギーは残っていないのだろう。
そんなとらちゃんを見かねてハウスに入れることにした。
いまはもう、エネルギーの消耗を最小限に抑えるしかない。
奇跡的に抗生物質が効くことを祈ることしかできない。