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Channel: 野良猫劇場
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5/31のとらちゃん

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曇り。
ぼくが到着した時、とらちゃんの姿は釣り場にはなかった。
その後、餌場へむかう途中に出てきたという釣り人が教えてくれた。
正直、昨日の状態から、今朝までもたないだろうと予測していたのだが、
とらちゃんは生きていた。
だが、すでに限界に達しているであろうことは見た目にも明らかだった。
雨上がりで地面が濡れていたので、とりあえず、未使用のマットを敷き、
その上に乗せた。
他の猫たちに食事をさせてしまわないことには
とらちゃんとじっくり関われないから、その間、待ってもらうことになるからだ。


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他の猫たちに食事をさせ、とらちゃんをフリースで包み、車内へ移動。
長期戦を覚悟してのことだ。


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途中、何度か外へ出たがる素振りを見せるので、
その度に外へ出す。
すでに足元もおぼつかない…そんな歩き方しかできなくなっていた。
水を飲むにも、以前のような踏ん張りが効かないから、
腹を地面に着けて飲んでいる。


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そんな姿は痛々しく見えたし、切なかった。


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もう、とらちゃんが奇跡的に復活するということがあり得ないことは
ぼくにもわかる。
だから、せめて、穏やかに最後を迎えてほしい。
願うのはそれだけだ。
車内にいても頻繁に外に出たがる様子を見せるようになり、
迷ったが、餌場へ向かう途中の比較的、安全なエリアに連れていくことにした。
いまのとらちゃんでは釣り場エリアにいるのは
交通事故の可能性もあり得るため、いさせたくなかった。
夕方までは持つだろうといったん撤退することにした。


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夕方、ぼくが行くと、餌場のマットの上にいた。
すでに自ら動くことはできないかのように見えた。


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写真だけ見ると、明確な意思を感じるような目線だが、ぼくにはひょっとしたらもう見えていないんじゃないかとすら感じていた。
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そんなとらちゃんが、ぼくの手の中から降りようとした。なにかしたいのだろうと、いったん、地面に降ろした。とらちゃんが向かったのは汲み水のある場所だった。水が飲みたかったのかもしれない。
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だが、水を飲むことはなかった。水を飲む、気力も力も残されていない…そんなふうに見えた。
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抱かれながら、とらちゃんは時折、目を開いていたが、これまでの経験から言えば、それはむしろ不自然なことのように思えた。かすかなお腹の上下運動が生きていることを現していたが、すでに意識は無くなっているんじゃないか…そんなふうに思わせた。とうの昔に限界を超えているはずのとらちゃんの命を維持しているのは持って生まれたとらちゃんの生命力の強さのような気がした。
後ろ髪ひかれる思い出はあったが、とらちゃんをハウスにいれ、ぼくは撤退した。今夜一晩、おそらく、もたないような気がする。





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